あふことのたえてしなくはなかなかに / 中納言朝忠

3字決まり
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百人一首

【原 文】逢ふことの絶えてしなくはなかなかにあふことのたえてしなくはなかなかに  人をも身をも恨みざらましひとをもみをもうらみさらまし

【上の句】逢ふことの絶えてしなくはなかなかに(あふことのたえてしなくはなかなかに)

【下の句】人をも身をも恨みざらまし(ひとをもみをもうらみさらまし)

【決まり字】3字決まり「あふこ」

超現代語訳

もう絶対に会わない!って、わかっていたら、彼女の冷たい態度も自分の切ない気持ちも、こんなにツラくないのにね。

歌のポイント

  • 悲観的でありえない「もしもシリーズ」を詠んだ歌
  • 「あふ 人を」と、繰り返す「な」「をも」で、リズムよく覚える
  • 「逢わざる恋」をテーマに詠まれた歌

歌の情景

この歌は、村上天皇主催の歌会で「逢わざる恋」をテーマに詠まれた歌です。
叶わない恋の相手に、もう二度と逢わないで済むならば、こんなにも切ない気持ちにならなくて良いのにとありえない「もしも」を過程して詠みあげています。

語意

【あふことの】恋しい人とあうことが
【絶えてしなくは】全くないのならば
【なかなかに】いっそのこと
【人をも身をも】相手の冷たい態度も 自分の切ない思いも
【恨みざらまし】恨んだりしないだろうな

歌の分類

【歌集】拾遺和歌集
【歌仙】三十六歌仙
【テーマ】恋の歌
【50音】あ音

歌を詠んだ人物

【作者】中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)
【性別】男性歌人
【職業】上級官人(現代職業:エリート官僚)
【生年】910年(延喜10年)
【享年】967年1月15日(康保3年12月2日)

中納言朝忠(ちゅうなごんあさただ)は、藤原朝忠(ふじわらのあさただ)の事で、平安時代中期のエリート官僚です。父は25番目の歌人・藤原定方(ふじわらのさだかた)です。

選ばれしセレブな家庭で育ち、かつ頭脳明晰な人だけがなれる五位蔵人(ごいのくろうど)となり、醍醐天皇、朱雀天皇、村上天皇に仕え大活躍しました。

大和物語によると多くの女性との恋愛エピソードがあり、また座ることも立つことも苦しいほどに太っていた人物だったようです。三十六歌仙の一人で勅撰集に21首収められています。