ありまやまゐなのささはらかせふけは / 大弐三位

3字決まり
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百人一首

【原 文】有馬山猪名の篠原風吹けばありまやまゐなのささはらかせふけは  いでそよ人を忘れやはするいてそよひとをわすれやはする

【上の句】有馬山猪名の篠原風吹けば(ありまやまゐなのささはらかせふけは)

【下の句】いでそよ人を忘れやはする(いてそよひとをわすれやはする)

【決まり字】3字決まり「ありま」

超現代語訳

忘れているのは、アナタよね?
私はあなたのこと、ちゃんと覚えていますからね

歌のポイント

  • 紫式部の一人娘が詠んだ歌
  • 上の句の解釈が難しいけど、この歌の意味はほとんど下の句に込められている
  • 浮気を疑ってきた身勝手な恋人に、エレガントに復讐した歌

歌の情景

この歌は、恋人から「最近会ってくれないけど、浮気してないよね?」と疑いの歌を詠まれ、その気持ちに対して、余裕たっぷりにエレガントに詠みあげました。
「ゐな」と否をかけて、相手を完全に否定しています。ここに相手への未練を感じないさっぱりとした気持ちの良い歌に仕上がっています。

語意

【ありま山】神戸市北区有馬町近辺にある山 歌枕
【ゐなの笹原】有馬山付近の竹が生えた場所 歌枕
【風ふけば】風が吹きわたると
【いでそよ】相手の言葉を受けて「さあ、それですよ!」。「いで」は感動詞 「そよ」と笹の葉の音の「そよ」が掛詞
【人を忘れやわする】あなたを忘れるものですか、忘れません

歌の分類

【歌集】後拾遺和歌集
【歌仙】-
【テーマ】恋の歌
【50音】あ音

歌を詠んだ人物

【作者】大弐三位(だいにのさんみ)
【性別】女性歌人
【職業】女房(現代職業:キャリアウーマン)
【生年】999年(長保元年)頃
【享年】1082年(永保2年)頃

大弐三位(だいにのさんみ)は、平安時代中期に活躍した人物で、本名を藤原賢子(ふじわら の かたいこ/けんし)と言います。父は明るく面白い藤原宣孝(ふじわらののぶたか)で、母は女流作家の紫式部です。

わずか3歳で、父を亡くし、その後は母・紫式部と祖父・藤原為時(ふじわらのためとき)に育てられます。18歳迎えた頃に、母と同じく一条天皇の奥さんである藤原彰子に仕え働きました。

その後、最初の夫・藤原兼隆(ふじわらのかねたか)と結婚し、後の第70代後冷泉(ごれいぜい)天皇の乳母として活躍します。そしてエリート官僚として活躍していた高階成章(たかしなのなりあき)と再婚し、穏やかな生活を送りました。